バイアグラと硝酸剤が併用禁止の理由
バイアグラと硝酸剤(またはNO供与剤)が併用できない理由は、何個かあります。
1つ目バイアグラを投与しない生理的状態です。
NOは広く生体内に分布する血管拡張因子で、生理的な条件下では、血管壁への刺激(ずり応力)により、血管内皮細胞や血管周囲神経末端よりNOが放出されます(内因性NO)。
しかし、その量は少しであり、活性も不安定で、局所の弱い血管拡張作用によりわずかな血圧低下が起きるだけです。
2つ目は、バイアグラ単独の投与です。
生体内のNOの量は1つ目と同じです(内因性NO)。
しかし、PDEタイプ5は、陰茎海綿体以外の血管平滑筋にも存在するため、バイアグラがこれも同じようにブロックします。
その結果、陰茎海綿体のみならず、血管平滑筋でもサイクリックGMPの分解が阻害され、血管平滑筋の弛緩が増強され、この結果、軽度の血圧が低下します。
臨床的にはバイアグラを単独で内服した時の血圧低下は、収縮期血圧で8~10mmHg、拡張期血圧で5~6mmHg程度の低下が認められます。
3つ目にバイアグラと硝酸剤(またはNO供与剤)との併用(24時間以内)です。
硝酸剤やNO供与剤は人の体内でNOに変化する(外因性NO)ことにより、血管を拡張させ、狭心症などの心臓疾患に効果を発揮することが知られています。
硝酸剤内服下では、内因性NOに加えて、大量の外因性NOが循環血液中に存在し、その結果大量のサイクリックGMPが作られます。
ここにバイアグラを投与すると、血管平滑筋でのこれらの大量のサイクリックGMPが分解されずに蓄積するために、顕著な血圧低下が起こり、場合によってはショック状態に陥り、死に至る危険性もあります。
バイアグラの販売元のファイザー社さんの資料によると、狭心症患者さんでのニトログリセリン舌下錠とバイアグラ50mgの併用では、収縮期血圧が平均36~51mmHgも下がってしまうというデータもあります。
日本でも60代の男性がニトログリセリンの貼るバージョンの薬を使っていて、たまたま友人からもらったバイアグラ1錠を飲んで後、不幸にも3時間半に死亡してしまったということがありました。
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